2003年03月

山のあなたの空遠く

ドイツでの仕事と生活で 困ることは ドイツ語と車でした。
ドイツ語を ものにしなければならないのですが土曜の午後 教えて貰える人を 総務担当のN女史 に探してもらいました。 デュッセルドルフ大学の文学部の女子学生さんとのこと。買ったばかりの Audiを運転して 指定の時間に  訪問すると 礼儀正しい髭面の青年が玄関まで出迎えてきて Bitte kommen Sie herein !と中に通されました。
彼らは未だ 学生でしたが 同棲していました。(卒業と同時に二人は結婚し後のPfeuffer夫妻となりました。)ドイツでは結婚する前に同棲するのが当然で会社にもたくさんそういう人もいました。中には7~8年 同棲している人もいました。 事務所で私のアッシスタントをやってくれている Bautour 氏も その一人でした。
アパートは大変古いアパートでトイレの排水がこわれていて 如何にも安いアパートと思わせるものでしたが ドイツでは 親が金持ちであっても大学生になったら自分で費用をかせいで独立して生活しなければならないとのことでした。
2~3年後に彼の実家に招待されましたが 16も部屋がある医者の息子でした。ドイツに来たばかりで ガソリンの入れ方も わからない といったら ガソリンスタンドに連れて行ってくれ ガソリンの入れ方を 親切に教えてくれました。これが 1時間目のレッスンでした。ドイツのガソリンスタンドでは  誰もガソリンを入れてはくれず すべて自分でガリンを入れなくてはならず そのガソリンも DieselSuper Bleifreiなど 種類が分かれており何を入れたらよいのかどのように お金を支払うのか から教えてもらいました。 1時間 50マルクで 1時間たったらその場でお金を 封筒に入れないで渡すのが ドイツの礼儀でした。

2週目は外国人がドイツ語を勉強するDeutsch 2000 という教科書を持っていきましたが 私が話せないのを知ると その本は それで終わりで 何でもいいから 本を見ないでドイツ語で 話せとのことでしたので 私が知っている単語をダラダラと並べるだけのいい加減なドイツ語を 二人で だまってしかも 喜んで聴いてくれました。とにかくドイツ語でしゃべれ、ドイツ語でしゃべることが 訓練だ との考えでした。

3週目には  カールブッセ の 『 山のあなたの空遠く 幸い住むと人のいう。...』
という詩を 暗記していきました。

Über den Bergen, weit zu wandern, Sagen die Leute ,wohnt das Glück.

 二人の前で 声高に 言うと びっくりして 自分は文学部の学生だけど カールブッセという 詩人は聞いたこともない。どうして こんな詩 を 知っているのかと聞くので これは上田 敏 という詩人の訳詩集『 海潮音 』の中の1節で高校の教科書にのっているので 日本人 で 知らない人はいない。といったら 又びっくりして その辺りに  ゲーテ ハイネ ベートーベン ワーグナー など 載っている本を 私に見せて これは 日本人は知っているかと 聞くので これも 日本人は 名前ぐらいは
 小学生でも知っている といったら びっくりして『自分は 日本が正確にどこにあるのか 知らないし
日本の有名な人は誰も知らないのに日本人がどうしてドイツのことをこんなに知っているのか  不思議だ』という意味のことをいいました。 カールブッセはドイツでは全くの無名の詩人で 詩人でもある上田敏博士 が立派な日本語の詩に昇華させたもののようです。

次の週は 日本食は食べたこともないし カラオケ は 行ったこともないとのことでしたので、Immerman Strasse の「 日本閣 」という ドッセルドルフで 一番古い 日本食レストランに お二人を 招待することにしました。  続く


<Pheuffer 夫妻と私の家族 彼の行きつけのビヤホール Schuhmacher の前で>

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